09 株式会社タカラトミーアツ

アミューズメントゲーム機とWEBシステムの連携の試みの裏側 Reimagining Engagement: How Web Integration Enhances the Arcade Gaming Experience

アミューズメントゲーム機とWEBシステムの融合が生む新たなユーザー体験

アミューズメント施設のプレイ体験をさらに楽しくするため、タカラトミーアーツは、アミューズメントゲーム機とWEBシステムの連携に挑戦しました。アミューズメントゲームとデジタルサービスを結びつけることで、ユーザーにこれまでにない体験を提供することを目指した本プロジェクト。


フューチュレックは前作「ワッチャプリマジ!」「ワッチャプリマジ!スタジオ」から引き続き、プリティーシリーズの新作アミューズメントゲーム「ひみつのアイプリ」「アイプリバース」と連動する会員WEBサイト「マイキャラルーム」を制作しました。「マイキャラルーム」があれば、いつでもどこでも自分のマイキャラを見たり、楽しむことができることを実現したサービスです。今回、「マイキャラルーム」の開発に携わったフューチュレックのチームメンバーに、技術的課題やユーザー視点を大切にした設計思想について話を聞きました。

左から、バックエンドエンジニア:浦川、フロントエンジニア:川端、ディレクター・PM:都築、プロデューサー:塚田

まずは皆さんの担当領域を教えていただけますか?

塚田

今回のマイキャラルームの開発において、プロデューサーを担当しました。このサービスは、アミューズメントゲームで作成したキャラクター(マイキャラ)のデータをWEBサイト上で管理・閲覧できる仕組みで、ユーザーがアミューズメントゲームで遊んだときのプレイ結果の振り返りやそのとき作成したマイキャラのプロフィール管理をして楽しめるようになっています。プリティーシリーズのデジタル連動施策の一環として、アミューズメントゲームとWEBシステムを連携させた新しい遊び方を提供するためのものとして開発を進めました。前シリーズの「ワッチャプリマジ! マイキャラルーム」の流れを受け継ぎつつ、より幅広いユーザーに楽しんでもらえるシステムを目指しました。

浦川

システム開発を担当しました。他社が担当しているアミューズメントゲームのシステムとマイキャラルームのデータ連携の仕様、2次元コードを用いた事前登録の方法の提案、ログイン仕様の策定、プレイデータの保持等、WEBサイトやアプリとは少し異なる設計を求められました。その中でも、アミューズメント施設のゲーム機とWEBサイトをどうやってつなぐかが大きな課題でしたね。基本的にWEBサイト単体の案件に携わることが多いのですが、今回は他社が制作されるアミューズメントゲームのシステムとどのようにして情報をやり取りするかが課題でした。

都築

マイキャラルームのUIデザインと全体の制作管理を担当しました。特にユーザーがスムーズに楽しめる導線づくりにはこだわりました。10代のユーザーの方にはもちろん、子どもたちやファミリーのユーザー層にとっても、より直感的でわかりやすいUI設計を目指しました。また、これまでのプリティーシリーズにはない、新たなプレイ体験をユーザーが受け入れてもらいやすくするための設計をすることが大きな目標でした。

川端

フロントエンドを中心にデザインやUIの開発を担当しました。今回の マイキャラルームでは、インスタグラム風のSNS要素を取り入れたのが特徴です。単なる記録用のWEBサービスではなく、ユーザー同士がキャラクターを共有したり、リアクションを送ったりできる仕組みを作ることで、新しい体験の形を目指しました。

未知なるアミューズメントゲームとWEBシステムの連携

従来のアミューズメントゲームとは異なる試みですが、開発にあたっての課題は?

浦川

最大の課題は、アミューズメントゲーム側で管理しているデータとマイキャラルーム側で管理するデータの同期でした。ユーザーがマイキャラルームを登録する前にアミューズメントゲームをプレイしていた場合も、ログイン時に過去のデータを見ることができるよう、ゲームデータをWEBにも蓄積していく仕組みを設計しました。

都築

従来のゲームではユーザーがアミューズメントゲームの画面を自身のスマホで撮影してソーシャルメディアに投稿していましたが、今回のマイキャラルームでは、自分のプレイフォトがダウンロードできることが大きな進化だと思います。

塚田

ユーザーがプレイしたデータをスマホやPCからすぐに確認できるのは、これまでのプリティーシリーズにはない遊び方となりました。

特に難しかった点はどこですか?

塚田

ログイン機能の設計が一番大変でした。アミューズメントゲームに付いている2次元コードと、WEBサイトで生成されるQRコードのどちらも使えるようにする必要がありましたが、ユーザーにとって直感的な操作になっているか、何度も検証を重ねました。

浦川

2種類のゲーム機と複数の2次元コードを活用した事例がなかったので、チーム全員でゼロから議論を重ね、プロトタイプを作りながら最適なフローを設計しました。最初は「ログインが難しい」という声もありましたが、公開後のフィードバックを受けて迅速に改善しました。

塚田

実際、公開後にはソーシャルメディアでログインに関するフィードバックを積極的に回収し、リリースから1週間で最初の改善アップデートを行いました。ログインは最初の入り口なので、ここでつまずくとユーザーが離れてしまうという強い意識のもと、試行錯誤を重ねました。

ソーシャルメディア機能の実装とユーザー体験の工夫

ひみつのアイプリではソーシャルメディア的な機能も追加されたとのことですが、その開発はいかがでしたか?

塚田

今回、新たにリアクションボタンやフレンド機能、アカウントの公開設定などを実装しました。ユーザーがゲームで作成したキャラクターやプレイフォトを手軽に共有できる環境を作ることを目指しました。

川端

特にデザイン実装面では、インスタグラム風UIの実装を意識しました。直感的な操作ができるようにしつつ、アミューズメントゲームらしいポップなデザインを取り入れることを意識しました。また、インスタグラムのようなモバイルアプリとWEBサイトでは設計のアプローチが異なるので、アプリ風のユーザー体験をWEBブラウザ上で実現する事には課題も多かったです。特に、スクロール位置の保持や負荷対策など、細かな調整を重ねました。

今後の展望について

今回の取り組みを通して、アミューズメントゲームとWEBシステムの融合が生む新たなユーザー体験としてやってみたいことはありますか?

都築

コミュニティ機能の可能性を探りたいですね。

塚田

確かに、仮想空間上でのユーザー同士の交流をさらに活発にする仕組みを作れるとまた新しい体験を提供できると思います。

浦川

アミューズメントゲームとWEBシステムの連携が当たり前になる未来もあると思っており、今回の取り組みが先駆けになれるように、シームレスな体験を目指していきたいですね。

塚田

「マイキャラルーム」はアミューズメントゲームとWEBの境界をつなぐものとして、プリティーシリーズの体験をより強化していく方法を模索していきたいと思っています。